副業の収入が増えてくると「130万の壁」が立ちはだかります。この壁を超えると、手取りがどの程度減るのか、具体的な数字で把握している人は少なくありません。実際のシミュレーションを通じて、どのような負担が発生するのか見ていきましょう。
130万円は、扶養範囲内の年収上限です。この金額を超えると、社会保険(健康保険と厚生年金)の扶養から外れ、自分で保険料を払う義務が発生します。同時に所得税の計算にも影響が出ます。
重要なのは、この130万は「月額にして約10.8万円」という基準になります。3ヶ月連続で月10.8万円を超える見込みがあれば、扶養から外れる判定を受ける可能性があります。
具体例で計算してみます。本業の給与が月35万円の会社員が、副業で年150万円を得たケースを見てみましょう。
扶養内(年130万以下)の場合:
130万を超えた場合(年150万):
手取りの減少額:約14~17万円
20万円の収入増加に対して、14~17万円の負担が増えるため、実質的な手取り増は3~6万円程度になります。
国民健康保険料は市区町村によって異なります。東京都23区、大阪市、名古屋市での標準的な負担額は以下の通りです。
東京都渋谷区(150万円所得):
大阪市(150万円所得):
国民健康保険料は所得に対する税率が地域で異なり、また課税標準額の計算方法も自治体により異なります。同じ150万円の所得でも、住んでいる場所で年数万円の差が生じることは珍しくありません。
副業の収入を意識的にコントロールすることで、130万以下に抑える戦略があります。
1. 月額で10万円前後に設定する
年130万円を月でならすと約10.8万円です。月10万円程度で安定させれば、年間120万円となり、安全圏内です。ただし季節変動がある場合は注意が必要です。
2. 経費計上で所得を圧縮する
副業がフリーランスの場合、必要経費を計上することで所得を減らせます。150万円の売上でも、30万円の経費があれば所得は120万円となり、扶養範囲内に収まります。必要経費とは、仕事のために直接必要な支出です。在宅勤務の場合、家賃や光熱費の一部は経費として認められない場合が多いため注意しましょう。
3. 青色申告特別控除の活用
事業所得として報告し、青色申告をすれば65万円の控除を受けられます(令和2年以降は基本65万円、条件により55万円)。売上150万円でも控除後は85万円となり、大幅に所得を圧縮できます。
扶養の判定は通常12月の段階で翌年の見込み収入を基に行われます。副業の収入が読みにくい場合、9月~11月の段階で見通しを立て、年内の追加受注を調整することが現実的です。
さらに、既に超えてしまった場合は翌年の調整も視野に入れる必要があります。1月からの新年度では、副業の受注量を意識的に下げることで、再び扶養に戻すことも可能です。
130万の壁を超えると、単純に収入が増えた額以上に負担が増える仕組みになっています。20万円の追加収入でも、14~17万円の負担が発生すれば、実質手取りはほぼ増えません。自分の住んでいる地域での国民健康保険料率、副業の性質(フリーランス/アルバイト)、経費計上の可能性を総合的に判断することが重要です。
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