ダブルワークを始めると、多くの会社員が「社会保険料って2倍になるの?」と不安になります。実際のところ、2か所の会社で働く場合、社会保険の扱いはメインの職場とサブの職場で異なります。保険料の計算ルール、健康保険証の扱い、そしてあなたの手取りへの影響まで、具体的な数字で説明します。
2か所以上で働く場合、健康保険と厚生年金保険は給与額が高い方の会社(主たる給与を受ける会社)でのみ加入する仕組みになっています。
例えば、A社で月30万円、B社で月10万円の給与を受けている場合、A社が「主たる給与」となり、A社の社会保険に加入します。B社での給与に対しては社会保険料が徴収されません。
ただし重要なポイントとして、B社の勤務先も「あなたが他で社会保険に加入していること」を知らずに加入手続きを進めようとする可能性があります。入社時に「既に社会保険に加入しているため被扶養者扱い(または国民年金第3号被保険者)で対応してほしい」と申告することが、後々のトラブルを防ぐカギになります。
社会保険(健康保険・厚生年金)と異なり、雇用保険は両方の職場で加入することが可能です。ただし給付を受ける際は1か所のみからの給付対象となります。
具体的には、月の給与額が88,000円以上の職場であれば雇用保険の対象になります。A社で月30万円、B社で月10万円の場合、両社とも加入対象です。
保険料は給与から天引きされます。一般の労働者の保険料率は給与の約0.5~0.7%です。30万円の給与であれば月1,500~2,100円、10万円であれば月500~700円程度が目安になります。
具体的な計算例で確認しましょう。
パターン1:主たる勤務地での保険料負担
パターン2:サブの勤務地での給与(B社)
合計の社会保険料負担は月46,850円となります。A社だけで働く場合の46,350円と比べて、わずか500円の追加負担です。つまり、ダブルワークだからといって社会保険料が大幅に増える訳ではなく、雇用保険の追加負担のみにとどまります。
社会保険に加入している場合、健康保険証は主たる給与を受ける会社からのみ1枚発行されます。2枚発行されることはありません。これは、同時に2つの健康保険に加入することが制度上認められていないためです。
実務上の注意として、B社での健康診断や医療費請求時には、A社の健康保険証を提示することになります。B社の人事・総務部門も、「この従業員は既に別の会社で健康保険に加入している」という事実を認識しておく必要があります。でなければ、B社も独立した健康保険加入手続きを進めてしまい、後で二重加入として返還手続きが必要になる場合があります。
年間の社会保険料納付額は、所得税の計算時に「社会保険料控除」として使用できます。ダブルワークの場合、A社とB社の両方から天引きされた保険料(および国民年金保険料を納めている場合)を合算して申告します。
月46,850円を12か月納めた場合、年間では約562,200円が社会保険料控除となります。この額に応じて所得税が減少するため、手取り額にも影響してきます。
2か所勤務を始めたら、主たる給与を受ける会社の社会保険担当者に、サブの職場での勤務開始を報告することが重要です。一部の健保組合では、被保険者が兼業を開始した際に報告義務を定めています。
特に給与が逆転する可能性のある場合(例:時給のB社の勤務時間が大幅に増える)は、主たる給与の認定が変わる可能性があります。そうした際は改めて手続きが必要です。
多くの会社員は「副業での保険加入手続きの細かさ」に戸惑いますが、実際には「メイン職場で加入、サブ職場では雇用保険のみ」というシンプルなパターンがほとんどです。トラブルを防ぐには、入社書類に「既に他社で社会保険加入済み」と明記し、メイン職場の担当者にも一報しておくことで、制度上の混乱を未然に防げます。詳細な給与額や勤務パターン別の計算については、副業AI相談室で実際の数字を入力して試算することをお勧めします。
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