副業で月10万円稼いでいる会社員から「この収入は将来の年金額に反映されるのか」という相談をよく受けます。答えは副業の就業形態によって大きく変わるです。厚生年金に加入する副業と、加入しない副業では、65歳以降に受け取る年金額が数百万円単位で異なる可能性があります。
まず整理すべき点は、副業先で厚生年金に加入するための要件です。勤務先が以下を満たす場合、厚生年金への加入対象になります。
厚生年金加入の要件:
副業でコンビニやカフェでアルバイトする場合、時間・賃金がこれを満たせば加入対象です。一方、クラウドソーシングやSNS運用代行といった個人事業主扱いの副業は厚生年金に加入できません。その場合、国民年金の上乗せとして国民年金基金や付加年金で対応することになります。
主業(月給35万円)と副業(月給10万円)の両方で厚生年金に加入するケースで試算します。
受給額の計算基礎となる標準報酬月額の合計:
厚生年金の受給額は、加入期間と標準報酬月額で決まります。計算式は以下です:
年金月額 = (標準報酬月額の平均値 × 加入月数 × 0.005481)
加入40年(480ヶ月)を想定した試算です。
パターンA:主業のみ厚生年金加入
パターンB:主業+副業で二重加入
増加額:月2.6万円(年間31.2万円)
20年間生きる場合の受給総額は、約624万円の増加です。これが副業による厚生年金加入の効果です。
ここで重要な比較があります。副業を個人事業主で行い、厚生年金に加入できないケースです。
パターンC:副業は個人事業主(国民年金のみ)
国民年金の受給額は加入実績によります。40年全期間加入した場合、年額約78万円(月額6.5万円)が基本です。追加の上乗せがない限り、この金額に変わりません。
比較表:65歳からの月額受給(40年加入想定)
| パターン | 年金種別 | 月額受給 | 増減 |
|---------|---------|--------|------|
| A | 厚生年金(主業のみ) | 9.2万円 | ベース |
| B | 厚生年金(二重加入) | 11.8万円 | +2.6万円 |
| C | 国民年金のみ | 6.5万円 | -2.7万円 |
副業で厚生年金に加入できるなら、国民年金のみより月額5.3万円、年間63.6万円多く受け取ることになります。20年間だと1,272万円の差です。
副業先での厚生年金加入は受給額が増える一方で、保険料負担も生じます。
副業月10万円の場合:
年間で約11.3万円の保険料を納めることで、長期的には上記の増加額を得られる計算です。ただし短期間で退職する場合、保険料納付分を回収できないリスクがあります。
また、主業と副業の両方で厚生年金に加入する場合、複数の会社に勤務していることになるため、社会保険手続きが複雑になる点に注意が必要です。副業先に主業での厚生年金加入状況を申告しないと、保険料の過納につながる可能性もあります。
副業で年金受給額を増やしたい場合の確認項目です。
1. 副業先の雇用形態を確認
時給制・固定給制の契約社員・アルバイトであれば厚生年金加入の対象です。一度の相談で終わらず、給与明細に「雇用保険」「厚生年金」の控除項目があるか確認してください。
2. 主業の勤務先に申告
配偶者控除や扶養控除の判定に影響する場合、主業の担当部署に副業の事実を報告する必要があります。就業規則で副業禁止でないか確認も重要です。
3. 保険料納付状況の確認
ねんきんネット(日本年金機構のウェブサイト)で、主業・副業の保険料納付記録が正しく統合されているかを年1回チェックする習慣をつけましょう。記録漏れがあると、将来の受給額が減額されます。
副業の収入が将来の年金に反映されるかどうかは、その副業がどの社会保険制度に該当するかで全く異なります。自分の副業が厚生年金に加入するタイプなのか、それとも国民年金の範囲なのか、正確に把握することが30年先の生活を左右する判断になります。具体的な制度適用判定や保険料の計算については、副業AI相談室で詳しく聞くことで、自分のケースに合わせた正確な試算を得ることができます。
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