社労士資格保有者 Takeshi

副業で週20時間以上働くと雇用保険も加入必須?2024年改正の実務

更新日:2026-06-21 | 社労士資格保有者が情報提供

副業で週20時間以上働くと雇用保険も加入必須?2024年改正の実務

2024年1月、雇用保険制度は大きく変わった。それまで「副業では雇用保険に入らない」という会社員がほとんどだったが、新制度「マルチジョブホルダー雇用保険」により、複数の仕事を掛け持ちしている場合、条件次第で雇用保険加入が義務化されたのだ。

「週20時間」という数字をよく見かけるが、これは正確には何を示しているのか。本業と副業の両方で働く場合、実際に加入が必要か。加入した場合、失業給付はどう計算されるのか。具体的な実務を解説する。

マルチジョブホルダー雇用保険とは何か

従来の雇用保険は、1つの職場で週20時間以上働く労働者に適用される制度だった。つまり本業で雇用保険に加入していれば、副業では加入できず、副業の契約条件は「保険加入対象外」扱いだったのだ。

しかし2024年1月から始まったマルチジョブホルダー雇用保険は、複数の職場を掛け持ちする労働者を想定している。本業で雇用保険に加入していない場合でも、副業を含めた全ての勤務先の勤務時間を合算して判定できるようになったのである。

具体例を挙げれば、以下のようなケースが該当する。

ケース1:本業で週15時間、副業で週10時間働く人

ケース2:本業で週18時間、副業A・Bで各週8時間

この制度の目的は、複数の就業先を持つ労働者を雇用保険で保護することにある。特にギグワーク(単発案件)や短時間勤務の増加に対応した改正だ。

加入要件:「週20時間」の正確な判定方法

重要な点は、マルチジョブホルダー雇用保険に加入するには、複数の職場での勤務時間合算が基準を満たすだけでは不十分だということだ。以下の両方を満たす必要がある。

要件1:複数の職場で働いている

最低でも2つ以上の勤務先を持つこと。1つの職場での兼務や配置転換は含まれない。

要件2:各勤務先での勤務時間が特定の基準を超える

ここが複雑なポイントだ。厚生労働省の基準では、以下のいずれかに該当する必要がある。

つまり、単に時間を合算するだけではなく、各職場での時間と賃金の両方が基準を超える必要があるのだ。

具体例:加入対象になる場合と対象外の場合

| 本業 | 副業 | 加入対象判定 | 理由 |

|------|------|------------|------|

| 週22時間・月10万円 | 週15時間・月6万円 | ○加入対象 | メイン・サブ両方で時間・賃金基準超過 |

| 週25時間・月9万円 | 週18時間・月5万円 | ✕対象外 | サブの月額賃金が8.8万円未満 |

| 週30時間・月12万円 | 週5時間・月2万円 | ✕対象外 | サブの週時間が20時間未満 |

月額賃金の「8.8万円」はどう判定するか。時給×4週間分で計算する。時給1,500円で週10時間の場合、月給は1,500円×10時間×4週間=6万円となり、基準未満だ。

本業・副業で両方加入した場合の失業給付計算

加入対象になった場合、本業と副業の両方で雇用保険に加入することになる。最大のポイントは、失業時の給付計算だ。

従来は1つの職場での給与のみが失業給付の基礎になっていた。だが現在は異なる。両職場での賃金を合算して「賃金日額」を算出し、給付額が決定される。

失業給付計算の実例

年間給与から計算される「賃金日額」が決定要因だ。計算方法は以下の通り。

1. 本業と副業の過去6ヶ月間の賃金を合計

2. 総額を180日で割る

3. 得られた数字に給付率を掛ける(通常50~80%。年齢・勤続年数で変動)

具体例:本業月20万円、副業月8万円で失業した場合

これが従来の本業のみ加入の場合(月20万円)と比べると、給付額は確実に増加する。

ただし注意がある。副業で失業しても、本業が継続していれば「失業状態」と判定されず、給付を受けられない。両方の職場を離職して初めて対象となる。

加入手続きと申告は誰がするのか

2024年改正後、加入手続きで多くの会社員が困惑している。それは「どこにどう申告するか」という点だ。

加入手続きの流れ

マルチジョブホルダー雇用保険の加入申告は、労働者本人がハローワークに行って手続きする必要がある。企業側が自動的に加入手続きをすることはない。

手続き先はメインの職場所在地を管轄するハローワークだ。例えば東京都内の本業とオンライン副業の場合、本業の所在地を管轄するハローワークに申告することになる。

申告時には以下の書類が必要だ:

申告から加入完了まで通常2~3週間かかる。その間、保険料は遡及して徴収される。

保険料の徴収方法

加入が決定されると、毎月の保険料が徴収される。率は本業・副業どちらも労働者負担分で月給の0.3%程度だ(企業負担は0.95%程度。業種で変動)。

重要な点:本業と副業の双方で給与天引きされるわけではない。通常、メインの職場(給与が多い方)での給与天引きか、別途支払いを求められる。副業先がどこまで対応するかは企業次第である。

マルチジョブホルダー加入時の実務的な落とし穴

制度が始まったばかりなので、実務的な不備や誤解が多い。契約書に加入要件が明記されていない企業も多く、労働者本人が確認・判断しなければならないケースが大半だ。

ポイント1:副業先の企業が雇用契約書を提示しない場合

フリーランスや業務委託契約の場合、「雇用契約」そのものが存在しない。その場合、マルチジョブホルダー雇用保険の対象外となる。あくまで「雇用関係」が前提だからだ。

ポイント2:本業の企業に副業の存在を隠している場合

ハローワーク申告時には、本業と副業の両契約書が必要だ。これを隠していると申告できない。また、本業の企業が副業を禁止している場合、加入申告によってその事実が発覚するリスクもある。

ポイント3:月額賃金が確定しない業務の場合

コミッション制や成果報酬の副業の場合、月額賃金が毎月異なる。加入判定時には「加入基準を超える月」と「超えない月」が混在する可能性がある。この場合、ハローワークは過去6ヶ月の平均額で判定する。

2024年改正後、加入すべき副業の規模感

「週20時間」という基準は、実務上どの程度の副業規模を意味するか。時給の相場から逆算してみよう。

週20時間勤務で月額8.8万円に到達する時給

つまり、時給1,100円以上で週20時間以上働く副業は、加入対象になる可能性がある。

副業別の加入判定目安

記事執筆やデータ入力など「低単

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