副業をしている会社員の多くは「どこまで稼いだら社会保険に加入義務が生じるのか」という疑問を持っています。答えは複雑で、働き方や給与額によって判断が分かれるため、具体的なラインを理解することが重要です。
2024年の法改正により、社会保険の適用拡大が進んでいます。特に2026年以降は新しい基準が適用される可能性があるため、現時点での最新情報を押さえておく必要があります。
副業先で社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が生じるかは、主に3つの要件で判断されます。
時間要件と給与要件の両立
副業先での加入義務が発生する基本ラインは、以下の条件を同時に満たすことです。
重要なのは「かつ」の関係です。週20時間以上働いていても月給が8万8000円未満であれば加入義務は発生しません。逆に月給が高くても週20時間未満であれば対象外となります。
具体例で理解する加入ラインの境界線
パターンA:週15時間、時給1500円で働く場合
この場合、月給は基準を超えていますが週20時間に達していないため、加入義務は発生しません。
パターンB:週20時間、時給1500円で働く場合
この場合、両要件を満たすため加入義務が発生します。副業先で健康保険と厚生年金の加入手続きが必要になります。
パターンC:週25時間、時給1000円で働く場合
この場合も両要件を満たすため加入義務があります。
「月8万8000円」という数字は、2024年10月から適用されている最新の基準です。ただし全員に同じ基準が適用されるわけではないため注意が必要です。
短時間労働者の基準適用時期
2024年10月時点で、すでにこの基準が導入されています。ただし経過措置もあり、企業の従業員数や地域によって多少の差が出ます。2026年以降、さらに適用範囲が拡大される見込みです。
月8万8000円は、時給1500円であれば約59時間、時給1200円であれば約73時間の労働に相当します。自分の時給から逆算することで、加入義務が生じる時間をおおよそ把握できます。
副業先での加入義務が生じた場合、本業と副業の両方で社会保険料を負担することになります。これは多くの人にとって想定外の支出になります。
健康保険料の二重負担の仕組み
本業の勤務先で健康保険に加入している場合、副業先での加入義務が生じると複雑になります。原則として、副業先での加入義務が「明確」である場合は、その企業での加入手続きが必要です。
具体的には、月給12万円で副業先に加入義務が生じる場合、その月の給与から健康保険料が差し引かれます。保険料率は地域によって異なりますが、概ね給与の5%程度(労働者負担分)です。月給12万円であれば月約6000円の負担が増える計算になります。
厚生年金保険料の二重負担
厚生年金保険料は給与の9.15%(労働者負担分)が差し引かれます。月給12万円の副業であれば、月約11000円が追加で負担されることになります。
本業での厚生年金加入に加えて、副業先でも加入することで、月17000円以上の追加保険料負担が発生します。年間では20万円を超える負担増になるため、副業の手取りを大きく圧迫します。
副業が短時間労働ではなく「常用的」と判断される場合、異なるルールが適用されます。
週20時間未満でも、契約内容や実績から「実質的に正社員と同等の働き方」と判断されると、社会保険加入義務が生じる可能性があります。例えば月10万円でも週15時間であっても、複数年継続していて業務が常態化している場合は加入対象になり得ます。
これは企業側の判断に左右される部分が大きいため、不明点がある場合は勤務先に確認することが重要です。
アルバイト・派遣・請負契約など、副業の形態によって社会保険の取り扱いが異なります。
給与所得の副業(アルバイト・パート)は上記の基準が直接適用されます。一方、フリーランスや個人事業主としての副業は、そもそも厚生年金ではなく国民年金、健康保険ではなく国民健康保険の対象になります。
給与で月8万8000円を超える副業をしている場合と、報酬として月8万8000円を超える副業をしている場合では、社会保険の仕組みが全く異なります。自分の副業形態を確認することが第一歩です。
週20時間や月8万8000円を意識的に下回る働き方をしている人も多くいます。ただしこれが長期間続く場合、「実は加入義務がある」と後から指摘される可能性があります。
副業先の企業規模が100人以上の場合、2026年以降はより厳密に加入義務が判定される見込みです。特に継続的な副業の場合は、加入義務の有無を事前に確認しておく方が後々のトラブルを避けられます。
副業の開始時や給与が上がった時点で、「自分の副業は加入義務の対象か」を判断することが重要です。本業の勤務先には副業の存在を知られたくないという事情があるかもしれませんが、保険料の負担逃れが判明すると遡及徴収の対象になるため注意が必要です。
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